人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Diana Vishneva: Beauty in Motion
2/22/2008 NY City Center

このところ、ヴィシニョーワはちょっと食傷気味な気がして最初は行く気の無かった公演なのですが、他のチケットを買いに行って手にしたパンフに載っていた、まるで蜘蛛よのうなヴィシの写真に魅かれて見に行くことにしました。見る前に酷評を読んでいたので期待しないで行ったのですが、決して面白くなくはない公演でした。世界のプリマバレリーナ・ヴィシニョーワがあえてリスクを取り、クリエイティブに自らの新境地を開拓しようと挑戦、自分で振付家を選び2年がかりで実現した公演。決して華々しい公演ではありませんでしたが、私はそういった彼女の姿勢に敬意を表したいと思いました。NY Timesに全ての作品の写真が出ています。(記事はこちら

Pierrot Lunaire

Choreography: Alexei Ratmansky
Music: Arnold Schoernberg

Diana Vishneva, Igor Kolb, Mikhail Lobukin, Alexander Sergeev

シェーンベルクの音楽を使うことは、ラトマンスキーにとってもヴィシニョーワにとっても挑戦であったようだが、複雑難解な音楽が、時折胸にざわつく不快さと共に、気持ちの深いところを探られるような作品だった。ピエロに扮したダンサーは皆高度なテクニックを美しくこなし、ヴィシニョーワは時に色っぽく時に可愛らしかった。


F.L.O.W. (For Love of Women)
Choreography: Moses Pendleton

Diana Vishneva, Maria Shevyakova, Ekaterina Ivannikova

様々な小道具を使い、ユニークな視覚効果で有名なMomixのペンデルトンがヴィシニョーワに振付たということがこの公演を見る理由だったのだが、決して彼女でなければならないという作品ではなかった。が、結果的にはこれが一番面白く、一番感動した作品だった。

3部作の1番目は何と、3人のバレリーナは顔も胴体も出さず、ブラックライトで発光させた肘から先と膝下のみの演技。さすがペンデルトン、こういう場でこういう演出をするとはお茶目である。

2作目は、3メートル四方ほどの傾斜のある鏡の上でヴィシニョーワがゆっくりと身をくねらせる。鏡の下にいるもう一人に話しかけるようであったり空間に浮かび上がるようであったり、はたまた変な生き物に成り変わったようであったり。

3作目、ヴィシニョーワはビーズのすだれの付いた花笠のようなものを着けて現れ、ゆっくりと回転し出す。その衣装の性質上、動きはくるくる回ることに限定されるのだが、きらきら光る輪の中で微笑するヴィシニョーワはまるで子供が雨の中空を見上げて喜んでいるようで、その無垢な満足感に心を打たれた。


Three Point Turn
Choreography: Dwight Rhoden
Music: David Rozenblatt

Diana Vishneva, Desmond Richardson,
Mikhail Lobukin, Maria Shevyakova, Alexander Sergeev, Ekaterina Ivannikova

ただただ激しい動きのコンテンポラリーバレエだったが、この作品に関しては変にラブストーリ性を持たせずにヴィシニョーワとリチャードソンの筋肉美対決としたほうが良かったのではないかと思った。2人の熱い気迫は伝わってきたが。


さて、、、最後の作品が終わったあとヴィシニョーワは一礼の後消えてしまい、ちょいと間を持て余したダンサーと演奏者達が何度かお辞儀を繰り返していると、あわやマトリックスかという黒ずくめのドレスでヴィシ再登場。何故そこで着替える必要が…?
by ponchikrin | 2008-02-24 16:21 | Ballet/Dance Reviews
<< Nina Ananiashvi... - La Bayadère -... >>